母なる夜(マザーナイト)の映画を見た。多少ネタバレ

 字幕版のビデオ入手。これはスローターハウス5より重い。どちらも運命に翻弄されるお話だがスローターハウス5にはSF的手法を駆使した救いがある。母なる夜の場合はいつ自殺するかという点のみしか選択肢がない。妻の死亡直後から裁判を待ってる最中までのどの時点で自殺するかしか選べない。主人公がアメリカの忠実なスパイであったことを公表しそれが認められ名誉回復されるようなことがあったら彼のことをうらみまくってる幾千の人々は怒りのぶつけどころを失ってしまう、無実の人を怨んでいた自分を責めるかもしれない。愛する妻も親友も大事な人が1人もいない状況でそのどんでん返しをしてしまうくらいならさっさと死んでしまった方が良い。

 スパイになることは避けようがなかった。スパイになることを断ったら消されている可能性もある。スパイにならなければナチでもないのにドイツに残ってナチのフリを続けることには抵抗があっただろう。自分はスパイであるということを自分に言い聞かせれば、命じれた活動の放送も抵抗なく出来ただろう。戦後アメリカで名誉回復もされずにひっそり暮らすのは辛かっただろう。友達を求めてしまうのは当然のことだ。しかし運が悪すぎた。そのあとにも辛すぎることが続く。もうだめ。

 ヴォネガット先生、作品に入り込んでるとこで急に出てこないで下さいよ。もっと何気ないシーンでお願いします。あと、最後に映像特典の解説として若いころの爆笑問題太田光が出てくる。

↑原作小説 とても良い作品です。
Mother Night [VHS]

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↑英語のオリジナル版 字幕版や吹き替え版は他所で探して下さい。